
La Trèso 新旧の融合が新たな可能性へ
パリのすぐ南、マラコフはリベラルでダイナミックな街だ。
2020年にこの街にオープンしたのが La Trèso。
1930年代に建てられたアールデコのエントランスが美しいこの建物は、過去には図書館、簡易裁判所、ダンスホール(!)、そして市の財務関係の施設として使われていた。
この場所を食や文化、生活に根差した活動の中心地にしようと、マラコフ市が4年の歳月と2億円以上の費用をかけ、La Trèsoが創設された。運営は組合による共同運営だ。
1階にはカジュアルでおしゃれなカフェ、レストランがある一方、2階にはアーティストや職人が作業場として使用できるアトリエがあり、ワークショップや展覧会、イベントを開催できる場となっている。



1930年代の建物は非常に天井が高く、広々としている。壁に沿って設置された本棚は建設当時のもので、アンティークのオブジェが置かれ、床も昔を思わせるクラシックなタイルで統一されている。
一方、カラフルなメタルの椅子やナチュラルなラタンの照明など、どこかノスタルジックでありながら現在人気なインテリア・デコレーションのアイテムも取り入れて、新旧の要素が調和した、非常に心地よい空間を作り上げている。
フランスでは昔の建物を壊して新しく建設したり、あるいはもとと同じように復元しようとするのではなく、古い建築要素を生かして一部を保存しつつ、新しい空間にする動きが盛んだ。
日本でも古民家改造が多くなってきているが、新旧の良さを融合して新しい可能性を摸索していくこのスタイルに大いに期待したい。


La Trèso
8 Av. du Président Wilson, 92240 Malakoff