
セビリアの現代アート美術館

風光明媚なスペイン・アンダルシア地方のセビリア郊外に、カルトゥハ修道院がある。
コロンブスともゆかりが深く、一時期その遺骨が埋葬されていたほどだが、現在ここは現代アートの美術館となっている。歴史的な宗教建築の中に、現代アートが巧みに融合している非常に興味深い空間だ。とはいえ、ここがずっと修道院として使用されていたら、こんな大胆なことはできなかっただろう。
スペイン独立戦争中の1810年にフランス軍が侵略してカルトゥハ修道院の修道士たちはこの場所を追われ、その後イギリス商人が買い取って陶器の製造工場にした。1982年までカルトゥハ修道院は陶器の製造工場として機能していた。現在も中には大きな製陶窯が残っている。
そんな歴史も中庭を散歩したり、時折窓の外を眺めたりすると思い出されるが、内部は圧倒的に広く、いつの間にか個々のアーティストの世界に没入してしまう。そして時折、大きなインストレーションの後ろに聖壇を見つけたりして、その絶妙な演出に、この場でしかありえない舞台設定にうならされたりする。
訪問時の展示はドイツとアメリカのアーティストを中心としたインストレーションだった。




入口そばにも面白いパーマネントインストレーションがある。残念なことに一部修復中だったが、歴史的な建築とシュールな彫刻との対比はまさにこの場所を象徴するものだろう。
