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    シャルダンの静物画 オークションで32億円を記録

    シャルダンの静物画 オークションで32億円を記録

    3月23日にパリのオークション会社アーキュリアルにおいて、ジャン・シメオン・シャルダン(1699-1779)の小さな作品が32億円で競り落とされた。

     

     

    18世紀フランスの代表的なアーティストの一人であるシャルダン。人物画と共に、その静物画も有名だが、その多くは美術館に収まっている。

     

     

    美術館にあるということは、公開され、一般の人にも見る機会があるということだが、もしあなたが、コレクターとして、彼の絵を所有したいと思ったらどうだろう。

    美術市場に再び出てくる望みがほとんどないということなのだ。

     

     

    だから、シャルダンの名作の一つ、「野イチゴの籠(Le panier de fraises des bois)」がオークション会社アーキュリアルの巨匠名画オークションに出品されたということはかなりの話題を呼んだ。

     

    シャルダンは多くの静物画を描いているが、その中で野イチゴが主題となったものは、この作品のみ、そしてピラミッド型の幾何学的な構成も非常に珍しく、画面を整ったものに演出している。この幾何学的構成の緻密さは近現代アーティストを先取りしていると言われる。

     

     

    巨匠作品がオークションに出てくることは、さほど珍しくはないかもしれない。バブル期には多くの印象派名画が取引された。

     

     

     

    この作品の珍しいところは、印象派の時代などかなりさかのぼり、同じ一族が200年近く所蔵していたものが初めて売られたということだ。

     

     

     

    「野イチゴの籠」は1761年にサロンに出展されるが、19世紀になってからマルシル家のコレクションに入った。

     

     

    1790年生まれで、オルレアン出身の裕福な穀物業者だったフランソワ・マルシルは美術の世界に魅せられ、パリに出てコレクションを始めるようになり、4500点もの作品を所有するまでになった。彼の二人の息子、ユードックスとカミーユがその情熱とコレクションを受け継ぎ、今日に至るまでその子孫のもとにある。

     

     

     

    「野イチゴの籠」は長い間公開されることはなく、20世紀にパリでシャルダンの回顧展が催されたときに初めて公衆の前にその姿を現し、図録の表紙を飾ったり、代表的な作品と見なされてきた。

    事前のエスティメートは日本円にして20億円ほどだったが(充分とんでもない金額だ!)、落札額は手数料込みで、それをはるかに超える約32億円となった。

     

    マルシルは同時代(つまりコンテンポラリー)の作品を収集したわけではないが、当時はここまで破格の値はついていなかっただろう。そして、売って儲けを出すようなことも考えていなかった。純粋に蒐集を楽しみ、同じ家族が守り続けたマルシルのコレクションの中には、シャルダン作品も30点ふくまれていたという。今もあるのか、これからまだ美術市場に出てくるのか、気になるところだ。

     

     

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