
ドガの「ウクライナの踊り子たち」
ロンドンのナショナルギャラリーが、エドガー・ドガ作品の呼称を変更したということで話題になっている。
作品は1899年頃パリで制作されたパステル作品で、もともとは「ロシアの踊り子たち」と呼ばれていたが、ドガ自身が付けた名称は明らかになっていない。(1899年にドガがアトリエを訪れた、マネの姪でモリゾ―の娘であるジュリー・マネに「ロシアの衣装の踊り子達」という3作品を見せたうちの一つと言われている)
髪を飾る黄色と青の飾りが印象的な、伝統的衣装をまとった踊り子たちはロシア人ではなくてウクライナ人であろうと、ウクライナ侵攻が始まった頃から大英博物館の教育部門と在英のウクライナ人を中心にSNSを通して、議論が沸きあがった。
新しい呼称は「ウクライナの踊り子たち」である。
もう少し歴史的根拠を集めてからのほうがいい気もするが、アーティストやモチーフとなる民族、文化を「ロシア」の名で安易に括ってきたということへの警鐘と言っていいだろう。
ナショナル・ポートレートギャラリーもまた、改装のための閉鎖中に多くの作品の解釈を見直し中で、一般からのフィードバックにも積極的に対応していく予定だという。
