
フランスのイースター
イエス・キリストが金曜日に磔となった後、3日目に蘇ったとされる日を祝う復活祭、イースターはフランス語ではパック (Pâques) と呼ばれる。
イースターは「春分の後の最初の満月の次の日曜日」とされ、3月から4月の間で毎年変わる。フランスではその日曜の後の月曜日が祝日になるが、フランス東部のアルザス地方では金曜日も祝日なので、長い週末となる。カトリックではクリスマスと並んで、最も大事な宗教行事だが、一般的には春を迎える季節行事、家族で集まる大事なイベントのひとつといった位置づけだ。
卵の殻にパステルカラーの色を塗ったりして、飾り付け、春の訪れを祝う。子供たちにとって、イースターと切っても切り離せないのは、チョコレート。大きなウサギや卵型のチョコレートがチョコレート・ショップやスーパーに並ぶ。
(余談になるが、最近フランスでは食品からサルモネラ菌やリステリア菌が検出されて商品回収となる例が相次いだ。大手フェレロ社の大人気ブランド、キンダーのチョコレートからもサルモネラ菌が検出され、スーパーからごっそりと商品が消えた。もともとキンダー・シュプリーズという、卵型のチョコレートの中におもちゃが入っている商品が人気なのに、タイミングが悪い。)


話は戻るが、チョコレートはただ、買ってもらうだけではない。
子供たちはシャス・デュ・ショコラ、つまりチョコレート・ハンティングを楽しむ。バスケットを手に、庭に隠されたチョコレートを探し集めるのだ。
この時に、「鐘が通りましたよ」というフレーズが合図となる。伝説では、空を鐘が通り過ぎるときにチョコレートを降らしていくのだ。
これがアルザス地方になると、チョコレートを運んでくるのはウサギ、ということになる。これもドイツからこの地方にかけての異教の伝統だ。
アルザス地方では子羊の形をした、ふわふわとしたスポンジケーキ、アニョー・パスカルもよく食べられるお菓子だ。
そう、そしてイースターに食べられるのは子羊のもも肉、ジゴ( gigot d’agneau)料理。ローストしたり、長い時間をかけて煮込んだりする。付け合わせはインゲン豆やポテトだ。
丸ごと料理をして、切り分けていく。
この料理のボリュームからもわかるように、フランスでイースターは、家族が大勢で集まって一緒に食事をする大切な機会なのだ。

