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前澤友作所蔵のバスキア作品がオークションで高額落札  美術品と投資

前澤友作所蔵のバスキア作品がオークションで高額落札  美術品と投資

 

 

実業家、そしてコンテンポラリー・アートのコレクターとしても知られる前澤友作氏が2016年にサザビーズで約62億円で落札した、バスキアの大作「Untitled」(1982年制作)。この作品が、5月18日のニューヨークのフィリップスのオークションにて、再び109億円という価格で落札された。これはバスキアの落札価格としては史上3位だ。

 

前澤氏の所蔵作品が6年で2倍近くになってしまったのである。様々な投資と比べても非常に利益率のいい成長率だ。しかも美術品投資の場合は、株式などと違い、価格が上がるのを待つ間、作品そのものも眺めて楽しむことができるのだ。

現在のIT長者達が「投資目的」で美術品購入に走るのもよく理解できる。

 

 

しかし、一つ忘れてならないことがある。美術市場での作品評価額は、99パーセント以上は非常に緩やかである。そして、数10万円で購入した作品が一晩で数億になるということも起こらない。バスキアは2016年当時でも価格が高騰傾向にあり、この作品はオークションにおける、当時のバスキアの最高価格を達成した。美術投資のためには、それなりの投資額が必要である。そして何年も手許においても楽しめるように、自分が本当に好きな作品を買うことが大事だ。

 

 

前澤氏もストリートカルチャーに育まれてきた中で、ストリートアートのバスキアに大いに共感したという。常に独自の発想で世界を驚かす前澤氏には、バスキアの異端者としての自己を投影したテーマに呼応するところがあったのだろう。

 

前澤氏は「次のオーナーにも大切にされ、多くの方々に共有されることを願っています」とコメントを出している。前澤氏の所有期間は長くはなかったが、この作品の来歴に華を添えたことは間違いない。

 

次回はこの来歴についてのエピソードに触れたいと思う。

 

 

 

5月18日にニューヨークのフィリップスで落札された「Untitled」
[Mary Altaffer – AP Photo/Keystone]

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