
フランスのセール
フランスの夏のソルド(セール)が始まった。
日本では、お気に入りのブランドのセールがいつ始まるかと、やきもきする人も多いだろう。親しくなったスタッフが、「お客様にだけ」とそっとセールが始まる日を教えてくれることもあるかもしれない。
しかし、ここフランスでは、そんな秘密はありえない。
政府主導で年2回のセールの期間が決まっていて、海外県など一部地域の例外を除いて全国一斉に始まる。
2022年夏のセールは6月22日から7月19日まで。始まるのはいつも水曜日だ。
冬のセールは1月の第2水曜から、夏のセールは6月の第3水曜から、それぞれ5週間と決められている。
なぜ水曜なのかと言えば、フランスでは水曜は学校がお休みか半休で、それに合わせて週4日または4日半で働く親が多く、子供を連れて外出する人が多いことも関係している。しかし一番混むのはもちろん、セール開始後のウィークエンドだ。
洋服だけでなく、家電や家具などあらゆる分野で同時にセールが始まる。

では、フランスでは他の期間に全くセールがないかと言えば、そうではなく、他の期間は「特別プロモーション」の扱いで、一時的に値引きが行われる。
11月の感謝祭の後に催されるブラック・フライディーはアメリカから輸入され、すっかり定着した。これになぞらえて数年前から始まったフレンチ・デイズは5月に数日間開催される。
さらに夏と冬のセールの1,2週間前からプライベート・セールと称して、会員だけに特別価格での販売が行われる。高級ブランドの顧客優待からはじまったこのシステムは、今では普通の店舗やオンライン・ショップでも一般的で、実質的なセールは開始期間よりずっと前に始まっているのだ。
「洋服はシーズンの最中に欲しいから、セールなんか待てない」という人も多いかもしれない。
しかしフランスの夏は短い。パリ周辺では、5月になっても6月になっても天気がはっきりせず、コートが必要という日も多い。本当に暑い期間は数週間なので、夏物を早く買っていても、袖を通す機会がなく、買うのはセールが来てからで十分と言う人が多い。
そしてパリでは1年の半分以上は冬物を着て過ごすので、1月のセールで冬物を購入しても、使える期間はたっぷりあるのだ。
そして、人だかりがするほどに人気があるのは、スポーツ用品のショップだったりする。
ソルドの時期にパリに来るのも面白いかもしれない。いつ始まるかわかっているのだから。
