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    フリーダ・カーロ展 (没入型映像美術展)

    フリーダ・カーロ展 (没入型映像美術展)

    ブリュッセルの街中では至る所に「フリーダ・カーロ」のポスターがあった。後でわかったが、二つの全く異なる展覧会が、競い合うように同じ場所にポスターを貼っていたのである。

     

     

    サイトアドレスも、ひとつは

    https://fridakahlobruxelles.be/

    もう一つは

    https://fridakahlo.be/

    と非常に紛らわしい。むしろ混同を期待しているかのようだ。

     

     

    一つ目の展覧会 Frieda Kahlo the life of icon

     

    一つ目は「バイオグラフィー」を銘打っており、一応その目的は明確といえる。作品を見せるわけではない、フリーダ・カーロの生涯を追うだけなのだと。場所は中央駅の側の「ギャラリー・オルタ」ということで、こちらにも王道を感じさせる。オルタというのはブリュッセルが誇る、アール・ヌーボーの建築家なのだ。

     

    しかし、これがかなりショボいと言わざるを得ない代物だった。

    まず、場所。エントランスが非常にわかりにくい建物で、エスカレーターで上に登っていく。8月の観光シーズンなのに、あまりに人がいないので、幽霊屋敷の中に入っていくような心地さえする。受け付けは一人、人が来なくて退屈しきった感じの女性。

     

    嫌な予感は実感に変わる。

    最初のホールはクラシックに壁に貼られた写真や説明書きで、彼女の生涯が説明されている。たしかにバイオグラフィーと謳っているとはいえ、フリーダ・カーロの名前に惹かれて2000円以上出して展覧会に来る人にとって、彼女の生涯の軌跡は頭に入っていて当たり前で、何も伝記のサマリーを見せられたいわけでないはず。

    だが一般の展覧会なら、最初にアーティストの年表などを見るのは当たり前で、ここは我慢して、一通り読み込む。

     

    ところで、このインターナショナルなブリュッセルにおいて、こんな観光客向けのイベントで、使用言語はフランス語とオランダ語のみなのだ。オーディオガイドがあるわけでなく、主催者のやる気のなさがダイレクトに伝わってくる。

     

    そして、安っぽい造花に飾られた通路を抜けると、そこが大ホールで30分ほどの上映。リラックスして観覧できるよう、ビーチチェアが置かれている。しかし、真ん中には大きな柱がいくつもあり、観客がどこに座っても視界の邪魔になる。(皆がビーチチェアに座っているので、歩き回ることもためらわれる。)

     

    内容は、生涯をたどるというより、詩的、芸術的に映像を見せていくという意図かもしれないが、編集アプリが発達している現在、素人でもできると思えるようなお粗末なもの。作品は全く現れない。度々引用される文章の切れ端は、ホールに入る前に見た説明書きからの抽出で、何も目新しいものはない。

     

    美術館のひと隅に、おまけとしてよく10分ほどの説明ビデオがあるが、そういうものだったらわかるが、これがメインで、このプライス(14.5ユーロ)とはどうしても納得できない。あとから見たらグーグルでのレビューが5点中2.7という惨憺たるものだったが、納得のひどさだった 笑。

    最初の展覧会で。本人の写真中心。
    フリーダ・カーロがファッション・アイコンでもあったことは理解できた。

    2つ目の展覧会 Viva Frieda Kahlo

     

    もうひとつの没入型展覧会は、街の中心部にあり、場所はわかりやすい。ここも2階分をエスカレーターで登っていく。途中階に別の催しの受け付けがある。警備員にどこに行くかと聞かれたので、一応、上のカーロ展に行くことを伝えると、「カーロ展だって」「今日やっている?」と受付と慌てて確認しあったり、ここもかなり心もとない。

     

    しかし上ってみると、複数の職員がかしこまっている、最初の展覧会よりは受付らしいカウンターがあった。

    こちらの上映は英語なので、仏語かオランダ語がいい場合にはオーディオセットを貸すという、英語スタンダードの、正反対のシステムだった。

     

    ここでもまず、カーロの年表がある。しかし、ホールに入る前の通路に簡単に展示しているのみなので、余計な期待も失望も抱くことなく、さっと見て、上映ホールへ。360度投影かもしれないが、基本的には前面がステージ。そして観客席が2段になっており、後段には布マットレスがあり、寝そべりながら見られるようになっている。

    最近ようやく第七波が収まったところで、まだコロナが完全に過去のものとはいえないのに、こんな衛生管理でいいのだろうかと心配になってくる。

     

    上映が始まり、フリーダ・カーロに扮したナレーションで語られていく。英語なのだが、わざと強いメキシコなまりを利かせてあり、聞きにくいことこの上なかった。しかし、確かにこちらの内容のほうが、カーロの生涯、事故、感情の推移、作品が包括的に構成されており、彼女の絶望までもが視覚を通してダイレクトに伝わってくる。

    低年齢の観客でも十分楽しめ、フリーダ・カーロという偉大なアーティストであり女性の一生が一通りは理解できる内容となっていた。しかしこちらも15.5ユーロ。

     

    その前日訪れたマグリット美術館の充実ぶりがあっただけに、価格に見合わない不満足感が残った。

     

    大きな中心のホール以外は、美術館並みのスペースを必要とせず、さほどのダイナミックな仕掛けがあるわけでなく、展示コレクションの管理維持費があるわけでなく、世界中の美術館やコレクターから本物の作品を借りて、保険を掛けて輸送するわけでもない。なのに普通の展覧会よりもはるかに高い価格というのは、やはり展覧会運営の視点から見ても、訪問者視点から見ても納得できないが、単なる観光アトラクションと見ればよいのだろうか。

     

    安易に収益できるとなれば、今後もこうした玉石混交の、イマ―シブ展覧会は増えていく気がする。

    二つ目の没入型美術イベント会場。内容はこちらのほうがずっと良かった。

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