
LV Dream ルイ・ヴィトン
セーヌの右岸、サマリテーヌのすぐ向かいに、2022年12月15日よりオープンした、ルイ・ヴィトンのエキジビション・スペースLV Dream 。
ルイ・ヴィトンのコラボレーションの歴史をたどる大きな旅の物語にビジターを誘っていく。
まず最初に目にするのは、中国人アーティスト、 ツァオ・フェイによる、デジタルアート作品Mr. Louis。時に構築され、そして放逐されていくキューブで作られるポートレートは、ブランドの創始者をデフォルメして現代に映しだす。
次に進むと、アーティストと、ヴィトンの歴史的なオリジンともいうべき、旅行トランクのコラボレーションが現れる。
ダミアン・ハーストのトランクには、彼の作品を象徴するようなチョウたちが描かれ、蓋裏にはこれまた彼のお気に入りのモチーフである、頭蓋骨のリリーフが飾られている。


ルイ・ヴィトンと言えば、2003年の村上隆とのコラボレーションで、大きな話題になったが、コンテンポラリーアートの旗手とのコラボの前にも、川久保玲、ヴィヴィアン・ウエストウッドなど、すでに時代を代表するデザイナーたちとコラボをしていた。
コンテンポラリーアートとの融合は世間を沸かせたが、すでに外部の一線のデザイナーを招聘して特別にコラボ作品を作りだしていたヴィトンにとっては、ごく自然な流れであっただろう。
とくに盛んだったのは、まだ日本が元気で、女子高生でも誰でも一つはヴィトンを持つのが当たり前のようだった、90年代かもしれない。
現在ヴィトンの歴史を語るのに欠かせない、斬新なデザインのコラボ・バッグの数々の多くは96年に発表されている。
草間弥生とのコラボでは、今年もパリのアート・バーゼルなど、アートの第一線でもその作品の展示プロモーションを打ち出し、東京タワー、そして東京の街が、草間彌生のアートで席巻される、という離れ技までやってのけたルイ・ヴィトン。
モードがアートに近づくのか、アートがモードにすり寄っていくのか。その境界をなくしていく先頭に立つのが、ルイ・ヴィトンであることは間違いない。



