
ストリートアート展 パリ市庁舎
ゴシック建築が美しい、パリ市庁舎では、定期的に無料の展覧会が開催されている。
今回はストリートアートの展覧会。
ストリートアートは21世紀においては、現代的なスタイルとしてすっかり定着している。
最初からキャンバスの上に作品を仕上げ、販売目的で制作するアーティストも多い。グラフィティのような自由奔放な筆致は、色も構図も計算しつくされた上で表現される。コラージュも頻繁に使用される手法だ。
しかしもとを辿れば、街中の(非合法な)落書きから誕生したものだ。建物や、駅、電車、メトロの壁を覆いつくすグラフィティを巡り、パリ市とその作者たちとは長い闘いの歴史がある。
公共の場所へのグラフィティの結果、ストリート・アーティスト達が受け取った召喚命令や罰金の支払い命令を、額装しアート作品として誇らしげに展示したものもある。
社会への批判、自分が表現したいと思うものを、美術業界の販売レールに乗らずに、自分の街の中で生み出す。若いアーティスト達がこの手法に惹かれていったのも無理はない。

パリ市が落書きの消去作業に掛ける費用は毎年6億円以上に上るという。
公共サービスの大敵ともいえるストリートアートが、パリ市の主催によって、一堂に会されるところが面白い。
一方、芸術の街パリとその近郊は早くからストリートアートを認め、一部の街建物の壁全面を使った作品がでは街の顔となっているところもある。
バンクシ―やシェパード・フェアリーは世界的に有名なストリートアーティストだが、フランスではMiss. Tic やMesnagerなど、一見してわかるスタイルで一世を風靡するほどに有名になったアーティストもいる。
20年以上前に彼らの作品を安く手に入れた友人たちがいるが、現在の価格はその頃とは比べようもない。私自身はその頃、自分の扱う分野があまりに違って、これらのアーティスト達にさほど関心が持てなかったので、友人たちの慧眼には感心するが、そのころでも、彼らが無名だったわけではない。
若いコレクターにとっては、コレクションを始めるのに手頃なストリートアートであるが、全く無名なアーティスト作品を購入するよりも、各方面で評価が出始めたアーティストの作品を購入するほうが賢明だ。
パリ市庁舎
Salle Saint-Jean de l’Hôtel de Ville de Paris
5 rue de Lobau, Paris 4e
月曜から土曜
10時から18時30分
木曜21時まで
3月25日まで
入場無料

Mesnager作品


