
フェルメール展 アムステルダム
世界最大規模のフェルメール展がアムステルダムで開催中だ。
2月から始まり、6月までの開催予定だが、チケットは開幕直後に売り切れたという。
私はイースター休暇の4月末頃に行こうかと思っていたが、急遽開幕前にチケットを取り、3月初めに行ってきた。
フェルメールが生涯に描き、今日も残っている作品は多くない。30数点と言われるその作品は世界中の美術館に収まっており、彼の作品を見るために世界を旅する人も珍しくないだろう。それが今回、そのうちの28点をアムステルダムの国立美術館で展示するというのだから、アートファンが興奮するのもうなずける。
世界中で人気のあるフェルエールであるが、この規模のフェルメール展は、彼の母国オランダであるからこそできたことだろう。
チケットが完全予約制だったためか、会場は混みすぎることもなく、割とゆったりと鑑賞することができた。

フェルメールは生涯のほとんどをデルフトで活動した。
カトリックとプロテスタントが明確に分かれていた当時のオランダで、プロテスタントのフェルメールは、反対を受けつつもカトリックの裕福な家の出身の女性と結婚する。
子だくさんであったこと、英蘭戦争によってオランダの経済が混乱をきたしたことなどから、多額の負債に悩んだ。
当初神話など、古典的な題材を扱っていたが、日常的な主題を描き始めたところから、彼の作品はひときわ光彩を放ち、その輝きは今日に至るまで失われていない。
もっとも、寡作だったこともあり、18世紀には日常的な情景を採り上げる彼の作品の評価はあまり高くなかったという。19世紀になって、クールベなどの写実主義が台頭してくると、再びフェルメールにも脚光が当てられることになった。
周囲の状況に翻弄されつつも、現実世界の人物に目を向け、光や肌、布の質感を、日常の中の空気を丹念に見つめ、絵筆に乗せていった彼の真摯な制作姿勢、息遣いが感じられる作品群だった。




アムステルダム国立美術館
Museumstraat 1, 1071 XX Amsterdam
毎日午前9時から午後5時まで開館