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フランスのDIY

フランスのDIY

 

フランスではちょっとした修理や家の改装は、自分でやるのが手っ取り早い。

なぜかというと、

 

  • 腕がよくて信頼できる工事請負業者を見つけるのが至難の業

 

  • 腕がよくて信頼できる工事請負業者は予約でいっぱいで、数か月待たされる

 

  • 期日までに仕上げてくれることはまれで、数週間レベルでの遅れが生じる

 

  • 後からいろいろな費用が加算され、予算をはるかに超すことがある

 

  • 日本のようにお茶の用意などする必要はないが、工事の人が何日も家に出入りするのは煩わしい

 

 

などなど、いろいろな理由がある。日本人とこだわりのレベルが違うので、プロでも驚くような雑な仕上がりになることもある。

 

 

 

素人がなかなか手を出せないのは水道周りの修理で、これは普通プロに頼むが、ちょっとした水漏れでも来てもらうとたちまち日本円で6-7万円は飛んでしまう。

 

緊急を要する要件は、もちろんすぐに対応してくれることが多いが、問題はその後だ。水漏れそのものはストップしても、上階の水漏れなどで天井や壁に損傷が起きてしまった場合の修復にはまた、長い工事と大きな費用が必要となる。

 

 

こういう心配は古い家ほど多く、パリの中の一見瀟洒なアパルトマンでも免れない。優雅に暮らしているように見えて、日々水漏れと戦っている人のなんと多いことか 笑。7区、16区、シテ島、あらゆる場所に住む人からこういう話は絶え間なく聞こえてくる。

 

とはいえ、賃貸ならば(パリでは賃貸の人が圧倒的に多い)、修復工事に常に煩わされても、自分で修理の人を手配することも、自分で支払いすることもないのだから楽だ。

ところが、晴れて家主となった途端に、自己責任でのメンテナンスの問題が発生してくる。厄介でもあるが、徐々に手を入れて自分好みの家に仕上げていくことは、フランス人の大きな誇りと楽しみとなる。

 

 

地方に廃墟のようなセカンド・ハウスを購入し、バカンスの度に滞在しては少しずつ手を入れて修復するのを楽しむ人も多い。せっかくのお休みに働くなんて、と思うが、こうして自分たちで作り上げていくことが至上の楽しみとなるのだろう。

フランスにはCastorama、 Leroy Merlin、Brico Dépôtなど、DIY専門の大型ホームセンターのチェーンがいくつもある。郊外の大型店では、外装工事でも造園工事でも何でもできる材料がそろっている。

 

パリの賃貸アパルトマンに住んで、壁塗りすらことがない、というパリジャンも多くいる一方で(私もそうだった)、パリの外では、小さなころから両親と家の手入れをしたり、棚を組んだり、生活の中で自然にDIYを身に着けているフランス人は多い。

フランスの家の壁は基本的にはペンキで塗ってある。なんとなく薄汚れてきたからきれいにしたい、色を変えてインテリアを一新したい、となったら、色を塗り直すのだ。良く使う部屋では、だいたい5年くらいで塗り直すのが理想的だ。最低でも移り住んだ時に壁を塗り直す。建物は同じで住人がどんどん変わって行くのだから、住人が好みによって塗り替えたペンキの層がどんどん蓄積されていくことになる。

その蓄積が薄いうちは、また上に塗っていけばいいだけだが、厚ぼったくなったペンキの層が剥がれ落ちてくるようになると、一大事。ペンキの層をまず剝がす、という非常に面倒な工程が必要になってくる。

 

我が家の玄関ドアは鋳鉄の唐草模様の美しい、20世紀初頭のものだが、このドアの積年の塗料が非常に厚くなり、剥がれてはこないものの、ひび割れが目立ってきたので、塗り直すことにした。

 

塗料を剥がすには、薬剤を使う方法と、ドライヤーのような機械を使って、熱で剥がしていく方法がある。この機械が、熱いし、うるさいのだが、なかなか効果的だ。とはいえ、結局片手に機械、片手はへらを使いながら作業を進めてゆく。

実際に塗る工程よりも、準備の工程のほうが時間がかかる。

剥がし終わると、シャビーな、実に趣のある感じになった 笑。

元通り、木のドア部分は白、鋳鉄部分は黒に塗っていくのだが、色が混ざらないようにマスキングテープを貼りながら進める。

 

最終的には、大変身!という感じでもない (笑) クリスマスリースのある画像が以前のものだが、良く見なければ変化は気付かないかもしれない。

でもこの100年ほどの(!)塗料層が取り除けて満足だ。これであと100年くらいは上に塗り重ねていけるかもしれない 笑。

 

 

 

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